【連載企画・パッチ6.10のメタを追う】今最も熱いマップ、 EGのソーヴァ構成は流行するか? / フラクチャー編

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VCT 2023 Masters Tokyo」が終了し、2月の「LOCK//IN」から行われてきたトップクラスの戦いには一区切りつくこととなります。7月中旬から行われるLCQからはパッチ6.11が適用され、パールBサイトの変更、ヴァイパーの弱体化とチェンバーの強化、ヴァンダル / ファントムの予備弾数変更、ショーティー / フレンジーの弱体化などによりメタの変化が予想されます。

パッチ6.05で3月末から行われたインターナショナルリーグでは、アイスボックスとバインドの入れ替えを除けば、6.10に至るまで大きな変更はありませんでした。そこで今回の連載では、各地域の戦いを比較しつつ構成やメタについて検討していきます。今回はフラクチャー編です。

同様の企画は昨年6月にも行いました。当時はジェットのテイルウインドが弱体化され、ソーヴァに代わりフェイドが増加、チェンバーが全盛期を迎えていました。比較して読むと面白いかもしれません。

目次

フラクチャー:エージェント構成比較

EMEA(マップ登場回数:10回)

採用率構成登場回数勝率採用チーム
#1520.0%3チーム
#2450.0%TL,KOI
#33100%TL
#3 366.7%NAVI

Americas(マップ登場回数:16回)

採用率構成登場回数勝率採用チーム
#1771.4%EG
#2742.9%NRG,100T
#3560.0%C9,SEN
#4333.3%SEN,MIBR

PACIFIC(マップ登場回数:23回)

採用率構成登場回数勝率採用チーム
#11060.0%GE,T1
#2666.7%PRX,DRX
#3540.0%GEN
#3560.0%DRX,ZETA
#3540.0%TS,RRQ

Masters Tokyo(マップ登場回数:12回)

採用率構成登場回数勝率採用チーム
#1683.3%EG,NRG
#2450.0%EDG
#2450.0%DRX,FNC
#3333.3%T1,ASE

ポイント①:今最も熱いマップ、フラクチャー

フラクチャーの登場から2年弱が経過していますが、最近になって様々な構成が登場しており、今最も熱いマップと言っても過言ではありません。これまでほぼ登場しなかったスカイとソーヴァが競技シーンで見られるようになり、メタが固まっていない状況にあります。

この状況を読み解くカギとして、ソーヴァ構成の生みの親であるpotterコーチ(EG)による「フラクチャーはリアクションが重要」という言葉が挙げられます。

アタッカーサイド側はサブリスポーンを利用してどちらかのサイトを挟むのが基本ですが、ディフェンダーサイドからすれば、逆ラッシュを仕掛ければ人数有利で相手を挟むことが可能です。そのため攻撃側は相手の動きに合わせ、ワイヤーを使用して反対側に逃げるなど臨機応変に動くことが求められます。

そうした背景をもとに、スカイの採用が増えていると考えられます。ガイディングライトにより、あまりスキルを使うことなく逆ラッシュを止めることができるうえ、防衛側ではフラッシュを用いたプッシュを行うことができます。

C9はBアーケード側からのプッシュを続け、守りで10連続ラウンド取得

ポイント②:キルジョイとサイファー、どちらを使うべき?

現状のフラクチャーではノーセンチネル構成も一部見られますが、基本的にはキルジョイとサイファーの2択となっています。ピック率ではキルジョイがサイファーの3倍程度となっていますが、勝率はどちらも5割程度で変わりません

キルジョイの強みはなんといっても攻撃時にBサイトの地下で使用するロックダウンでしょう。安全にサイトを制圧することができます。他にもナノスワームを使用したセットや解除阻止など、本隊に同行しての動きが強みです。一方で防衛時にはかなり居場所が限定され、Bサイト中で狙われることも多くなっています。

Bトンネルのロックダウンは超強力

サイファーはスキルに距離制限がなく、アタッカーサイドでもエリアを維持しやすいことがメリットとなります。アルティメットは回転が早ければ強力な武器になりますし、自由に動けるためラーク役にも向いています。現状ではnAts選手などスペシャリストが担当するイメージで、キルジョイはよりスタンダードと言えるでしょう。

ポイント③:2デュエと2イニシ、地域の違い

地域によって構成に違いが生まれているのもフラクチャーの特徴の一つと言えます。EMEAは2コントローラー構成やサイファーの起用が多い一方、Americasはスカイの登場が多く、PACIFICはジェットを含む2デュエリスト構成が多くなっています。

地域ジェットフェイドスカイサイファーヴァイパー
EMEA10%60%20%65%35%
Americas25%25%41%13%9%
PACIFIC33%26%15%17%28%

ネオンレイズ構成も含め、PACIFICでは約40%が2デュエリスト構成となっています。一方のAmericasでは全体の94%が2イニシエーター構成。EMEAでは35%が2コントローラー構成と、地域によって特徴が大きく異なっています。Mastersを見る限り2コン構成は苦戦している印象ですが、今後どうなっていくでしょうか。

ポイント④:EGのソーヴァ構成は流行るか?

Masters準優勝と躍進を続けるEGの原動力になったのは、間違いなくフラクチャーでしょう。今年に入ってから全12戦すべてでソーヴァ構成を使用し10勝2敗、現在5連勝中と圧倒的な成績を残しています。

独自の構成ということで対戦相手は十分な対策ができておらず、ハンターズフューリーを用いたセットやリコンボルトを用いた組み立てにとっさの反応ができないケースが多々見られます。構成としてメタになっていくほど強いのか、それともある種”初見殺し”になっているのか。もう少し様子を見る必要があるかもしれません。

ロックダウンを回避する相手に対し、スタン+ハンターズフューリーの組み合わせ

現在行われているアセンショントーナメントでは「BLEED Esports」がソーヴァを採用するなど、徐々に広がりつつあるEG構成。今後の展開が非常に楽しみです。


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