エース脱退の穴は全員で埋める、全マップヴァイパー構成の奇策は刺さるのか「VCT 2024 Masters Madrid」チーム紹介⑤：LOUD（Americas2位）

2024年初の世界大会「VCT 2024 Masters Madrid」が日本時間3月15日0時より開幕します。

当サイトでは、Mastersに出場する全チームの紹介を行っていきます。続いてはAmericas2位「LOUD」です。本稿が大会観戦を楽しむために役立てば幸いです。

ラインナップ

• 🇦🇷 Saadhak (IGL)
• 🇧🇷 Less
• 🇧🇷 cauanzin
• 🇧🇷 tuyz
• 🇧🇷 qck
• 🇧🇷 peu (Coach)
• 🇧🇷 stkJ (Assistant Coach)

戦績

VCT 2024 KICK-OFF

• vs Sentinels ○2-0 (Split 13-11 / Ascent 13-9)
• vs Leviatán ○2-1 (Bind 11-13 / Split 13-10 / Ascent 13-7)
• vs Evil Geniuses ○2-1 (Ascent 7-13 / Icebox 13-7 / Sunset 13-5)
• vs Sentinels ●2-3 (Sunset 9-13 / Split 3-13 / Icebox 13-11 / Bind 13-8 / Lotus 4-13)

チーム紹介

ここ2年間で世界大会の表彰台4度と、素晴らしい安定感を見せてきたLOUD。主力が引き抜かれた昨年も結果を残したのは、さすがというほかありません。

ただ、昨シーズン終了後にはエースのaspas選手がLEVは移籍。代わりに入ったのは「FURIA」でサポートを務めてきたqck選手で、さすがに大幅な戦力ダウンは免れないと見られていました。さらにKICK-OFFでは「死のグループ」でSEN / LEV / 100Tと同組となり、プレイオフ進出は難しいと評価する向きもありました。

しかしチームは強豪との接戦を勝ち抜いていきます。SEN / LEVに連勝し、伏兵EGには1マップを落とすも残り2マップを制勝。無敗でMasters出場を決めました。SENとのGrand Finalには敗れますが、0-2から2マップを取り返すなど奮闘しています。

この結果をもたらしたのは、間違いなく独特な構成です。現在はSaadhak選手考案の作戦をコーチがサポートしており、全マップでヴァイパーを使用、センチネルはアイスボックスしか出しておらず、フェニックス / ブリーチを多用しています。スキルの合わせが上手いうえに早い選手が揃っているからこそ、サポート陣の強みを活かそうとしているように見えますが、これが世界大会でどう出るでしょうか。

KICK-OFF マップ戦績

Ascent	Lotus	Split	Bind	Breeze	Sunset	Icebox
2-1	0-1	2-1	1-1	0-0	1-1	2-0

マップ	攻撃ラウンド勝率	防衛ラウンド勝率
Ascent	47%	62%
Lotus	40%	17%
Split	40%	54%
Bind	71%	33%
Breeze	–	–
Sunset	63%	50%
Icebox	67%	50%

エージェント構成

マップ	qck	cauanzin	Saadhak	Less	tuyz
Ascent	フェニックス	ブリーチ	KAY/O	ヴァイパー	オーメン
Lotus	フェニックス	ブリーチ	スカイ	ヴァイパー	オーメン
Split	レイズ	ブリーチ	スカイ	ヴァイパー	オーメン
Bind	フェニックス	ブリーチ	KAY/O	ヴァイパー	ブリムストーン
Breeze	–	–	–	–	–
Sunset	フェニックス	ブリーチ	ソーヴァ	ヴァイパー	オーメン
Icebox	ジェット	ソーヴァ	キルジョイ	ヴァイパー	ハーバー

個人データ

Player	Agent	ACS	K/D	KAST
qck		203.0	0.99	67%
cauanzin		195.5	1.03	74%
Saadhak		186.9	0.82	75%
Less		213.3	1.25	76%
tuyz		190.8	1.11	75%

※KAST = キル・アシスト・生存 (Survive)・トレードを行ったラウンド数 / 全体のラウンド数

注目ポイント

①：新たなスタイルが通じるか

現在のLOUDは、アイスボックス以外の5マップで2イニシ2コンという尖った構成を採用しています。デュエリストもフェニックスが多く、とにかくフラッシュとモロトフの量にこだわっている印象です。そしてスカイメタが終わったにも関わらず、Less選手は全マップでヴァイパーを使用しています。

aspas選手の破壊力を失ったからこそ、チーム全員が支え合うスタイルに切り替えたものと思われます。やはりcauanzin / tuyz / Less選手のサポート陣は超強力で、Less選手はヴァイパーのみにも関わらずK/D1位に輝いています。

懸念としては、一度見せていたアセント / スプリット / サンセットで差をつけられて敗れている点が挙げられます。尖った構成は対策されやすく、センチネル不在ではポジショニングの癖を分析される恐れもあります。KICKOFFの結果を受け、どこまで修正できているでしょうか。

②：qck選手の爆発力

新たにデュエリストを務めているqck選手は、チームとしての動きに徹している印象です。久しぶりにデュエリスト担当すると考えれば、十分な活躍と言えるかもしれません。

ただ、世界トップクラスのチームにはやはりトップクラスのデュエリストが必要というのがこれまでの流れでした。大人気チームへの新加入ということでかなりのプレッシャーがかかっていると思われますが、もう一段上のパフォーマンスを期待したいところです。

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