”将来性”を期待されたチームが見せた急成長、EMEA王者としてどこまで駆け上がるか「VCT 2024 Masters Madrid」チーム紹介⑦：Karmine Corp（EMEA1位）

2024年初の世界大会「VCT 2024 Masters Madrid」が日本時間3月15日0時より開幕します。

当サイトでは、Mastersに出場する全チームの紹介を行っていきます。続いてはEMEA1位「Karmine Corp」です。本稿が大会観戦を楽しむために役立てば幸いです。

ラインナップ

• 🇨🇿 Magnum (IGL)
• 🇫🇷 sh1n
• 🇨🇿 marteen
• 🇵🇹 tomaszy
• 🇺🇸 N4RRATE
• 🇷🇺 ENGH (Head Coach)
• 🇷🇺 fistie (Coach)
• 🇪🇬 ZE1SH (Assistant Coach)

戦績

VCT 2024 KICK-OFF

• vs GIANTX ○2-1 (Split 13-11 / Sunset 10-13 / Lotus 13-4)
• vs Team Heretics ●0-2 (Split 4-13 / Lotus 4-13)
• vs FUT Esports ○2-1 (Lotus 20-18 / Bind 4-13 / Sunset 13-7)
• vs Team Vitality ○2-0 (Sunset 13-8 / Ascent 15-13)
• vs KOI ○2-0 (Sunset 13-4 / Bind 13-7)
• vs FNATIC ○2-0 (Lotus 13-10 / Split 13-8)
• vs Team Heretics ○3-1 (Sunset 9-13 / Lotus 13-7 / Icebox / 13-7 / Split 13-5)

チーム紹介

フランスの人気ストリーマーによって結成され、多くのファンを抱えるKarmine Corp。昨年はScreaM / Nivera選手を中心にフランス語話者を集めましたが、リーグでは2勝7敗の最下位に沈みました。この結果を受けてチームは大幅な再編を決意、元「Gambit Esports」ENGH氏をコーチに招聘し、長いトライアウト期間で選手を選び抜きました。

とはいえ唯一の残留となったsh1n選手は昨年目立っておらず、Magnum選手も昨年「Apeks」ではIGLを担当していません。またN4RRATE / tomaszy / marteenの3選手は昨年Tier2シーンでデュエリストを務めており、大幅なロール変更が必要な状況で、どこまで戦えるか不透明な状況でした。

Magnum選手もそうした状況を理解しており、昨年12月のインタビュー動画では「自分たちには経験が不足している」と語ったうえで、「まずは国際大会への出場が目標」だとしていました。

しかしKCはGX / FUTのChampions出場組を下すと、プレイインではVIT / KOIにいずれもストレート勝ち。そしてFNC相手に番狂わせを演じると、一度は大敗を喫したTHにリベンジを果たし、早くもEMEA王者の座に着きました。

大会後にZE1SHコーチから明かされたのは、同チームが現在スクリムで58連勝を達成しているという驚愕の事実でした。KICKOFF序盤の苦戦が嘘のような成績ですが、やはり大会ならではの緊張感を経験したうえで、本当に強いチームになったと言えるでしょう。世界の舞台でどこまで活躍できるか、非常に楽しみです。

KICK-OFF マップ戦績

Ascent	Lotus	Split	Bind	Breeze	Sunset	Icebox
1-0	4-1	3-1	1-1	0-0	3-2	1-0

マップ	攻撃ラウンド勝率	防衛ラウンド勝率
Ascent	64%	43%
Lotus	61%	48%
Split	52%	55%
Bind	59%	35%
Breeze	–	–
Sunset	47%	64%
Icebox	63%	67%

エージェント構成

マップ	marteen	N4RRATE	Magnum	tomaszy	sh1n
Ascent	レイズ	レイナ	スカイ	ヴァイパー	ハーバー
Lotus	レイズ	フェイド	キルジョイ	ヴァイパー	オーメン
Split	ヨル	レイズ	フェイド	オーメン	アストラ
Bind	ヨル	レイズ	スカイ	ヴァイパー	オーメン
Breeze	–	–	–	–	–
Sunset	レイズ	ゲッコー	サイファー	ヴァイパー	オーメン
Icebox	ジェット	ゲッコー	キルジョイ	ヴァイパー	セージ

個人データ

Player	Agent	ACS	K/D	KAST
marteen		241.1	1.20	73%
N4RRATE		249.9	1.27	78%
Magnum		180.0	0.99	73%
tomaszy		162.2	1.00	75%
sh1n		184.6	0.95	75%

※KAST = キル・アシスト・生存 (Survive)・トレードを行ったラウンド数 / 全体のラウンド数

注目ポイント

①：独特な構成でメタを作れるか

KCはロータスなど既存の構成を採用することもありますが、ソーヴァを一度も使用せず、ゲッコー1イニシ構成をサンセット / アイスボックスで採用するなど、新しくメタを作ろうとしているように感じられます。

ゲッコーを担当するN4RRATE選手は競技シーン2年目ながら、KICKOFFではACSチームトップの249.9、K/Dも1.27と大暴れを見せました。デイジー / ウイングマンを何度も使えるのがゲッコーの強みですが、これからはフィジカルの強いプレイヤーに担当させるのが流行るかもしれません。

またスプリットではレイズ / ヨルの2デュエリスト構成に加え、アストラ / オーメンの2コントローラーを採用しています。スカイのフラッシュ不足をヨルで補いつつ、2コンによってヴァイパーの役割を埋め、早い攻めも可能とする構成です。これらの構成はどこまで刺さるでしょうか。

②：リテイク率の高さ

KCの特徴として、リテイク成功率の高さが挙げられます。中国を除く各地域のKICKOFFにおいて、トップの数字を残しました。勝利ラウンドの1/3はリテイクで制している計算になります。

Top teams in retake success rate at Kickoff | @INSTALOCKnet pic.twitter.com/trep4p99Ev

— willminder (@willminder) March 8, 2024

N4RRATE選手とmarteen選手を中心として少人数戦に強いのが特徴で、スキルを含めミクロ面に優れたメンバーが揃っています。シンプルに連携の完成度も高く、sh1n選手はEMEAトップとなる9回のクラッチを達成、tomaszy選手も8回と勝負強い選手がチームを支えています。この部分が世界の舞台でも光るでしょうか。

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