タクティカルFPSの基本的な作戦「デフォルト」を海外キャスターが解説。相手にこちらの動きを意識付けし”調教”する戦術とは

5v5タクティカルFPSでの基本的な戦術/配置である「デフォルト」の基本的なコンセプトを、VCT等でキャスターを務めるddk氏が自身のTwitter上で解説しています。

The winner of today's poll is "Default: what is/how to".

This is a pretty misunderstood term. It's not exclusive to professional teams. This is achievable in matchmaking if enough understand the concept.

Let's focus on understanding the attacking default for this thread! 🧵 pic.twitter.com/DmJfjp3eDq

— Daniel Kapadia (@ddkesports) February 17, 2022

タクティカルFPSの基本的な作戦「デフォルト」「デフォルト」とは？

以下、ddk氏のTwitter投稿より一部引用

デフォルトの基礎

多くのプレイヤーは「デフォルト」について誤った理解をしがちです。デフォルトはプロチームのみならず、ランクマッチでも応用可能な知識ですので、アタッカー側のデフォルトに焦点を当てて理解を深めていきましょう。

デフォルトの基本的な内容

• ラウンド序盤の動きを繰り返すことで、相手にこちらの動きを意識づけさせる。
• 序盤の動きは同じでも、複数の選択肢を残しておく。
• こちらの情報を隠すことで、相手にこちら側の意図を悟らせない。
• 相手の情報を取る。
• アビリティーを最大限活用する。
• マップコントロールを取る。

デフォルトを紐解く

デフォルトとはラウンド序盤より、様々な用途に使える作戦/配置です。最大のメリットとして、相手側にこちらの作戦や意図が悟られづらい事が挙げられます。相手は信憑性の高い情報を得られないため、効率的に守るための作戦が練りづらくなるのです。

もう一つのメリットとして、デフォルトを繰り返すことで相手と味方双方の理解が深まることがあります。デフォルトを繰り返すうちに過去のラウンドの経験から、相手の反応などを予測しやすくなります。そして相手のパターンを理解することができたら、裏をかいた作戦を実行することも可能になります。

例えば、ヘイヴンにて、Aロビーのコントロールをスローで取るデフォルトを5ラウンド連続で行ったとしましょう。その後のラウンドでCラッシュを行えば、Aロビー対策に人数を割きC側の守りが薄くなっている相手の裏をかくことができるのです。

相手にこちらの動きを意識付けし「調教」する

こちらの画像に映っているように、キルジョイのタレットは常にBリンク側からキャットを抑えています。このタレットを繰り返し配置することで、相手のジェットにキャットを飛び出させないよう”調教”することができるのです。そして次のラウンドで味方のジェットはKAY/Oを連れて素早いキャットのコントロールを取ることが可能となりました。

このように効率的なアビリティーの使い方を確立させることができれば、チームメイトの配置を変えて相手の意表をつくプレイを実行する事ができます。先程の試合を詳しく見てみましょう。

• ミッドに置かれたアストラのスターでミッドコントロールを取ることができる。
• キルジョイのタレットがキャットを取りやすくしている。
• 味方はハイミッド側に固まっているため、まとまってAメインを取りに行ける。

しかし、相手は2人の人数を割いてAメインを取っています。これがこちらのデフォルトを崩すための相手の反応です。通常よりも多い人数をAメインに割いているということは、Aメイン以外の守りが弱くなっており、狙うことができる事を意味します。

ラウンドの序盤の動きが終わった時には、中盤以降の作戦を組み立てる情報を得られているはずです。ラウンドの中盤には、序盤での成果と情報を利用してリスキーなプレイを実行します。この時に更に危険な場所を取りに行くのです。

もう一つ気をつけてほしいのは、ラウンド中盤まで生き残ることです。マップコントロールを取るために撃ち合う必要がある場面もありますが、これらは味方からのサポートを貰った上で撃ち合いに行くべきなのです。

ランクマッチでの応用

ではどうやって今の知識をランクマッチで生かすことができるのでしょうか？

もちろんこれは難しいことですが、原理はもう解説したので、あとは味方とのコミュニケーションを取るだけです。基本的にデフォルト配置を行いたいことを味方に説明し、誰がどの役割を行うのかを確立させましょう。

アセントを例とするなら、ソーヴァがBリンクからドローンを出し、ジェットドローンに付いていきがピザまでのエリアを取る。アストラはミッドにスモークを炊き、ディフェンダーにAメインを取らせないようにAメインに吸収を置く。KAY/Oはゼロコマンドを投げ、Aメインのオーブを回収する。キルジョイはBリンクにタレットを置き、B側の詰めを警戒する。

そうして決まったパターンの行動が終わった後に、キルジョイがミッドをラークしたり、ソーヴァ、KAY/O、ジェットの3人でキャットを取りに行くなどの選択肢を取ることができます。今挙げた選択肢以外にも、Aメインに多く圧力を掛ける、ジェットをミッドに残して残りはA挟みなど、取れる選択肢は膨大です。しなければならないのは、序盤の流れや相手の反応に応じた選択をすることです。

ランクマッチでの注意点

ランクマッチでよく見られる最大のミスは、早い攻めを行う意思がないのにも関わらず、チーム全員が固まっていることです。マップ全体に広がり、エリア取りを意識しながらプレイしましょう。そして結果に応じた判断をするのです。

もう一つ意識すべき点は、エリアを取る時に使うアビリティーです。ドローンやブームボットなどは非常に価値の高いスキルですので、プロがどの様に使っているか見て真似してみましょう。

さいごに

全てを解説することはできませんでしたが、デフォルトの定義と実行方法についての理解を深める手助けとなれたら幸いです。序盤の流れをパターン化し、中盤以降の展開を有利に運ぶデフォルト。これを毎回ランクマッチで行うのは難しいですが、あなたならできると信じています！GLHF!

補足：エリア理論については下記XQQ氏の動画が非常に参考になります。