VALORANT(ヴァロラント)の開発チームは、VALORANTのバランス調整を行う際にどのような視点でデータを見ているか、そしてデータがどのように使用され、エージェントに変更が加えられたかについて語られた「データと情報分析」に関する記事を公開しました。
さらに、今回公開された記事では各エージェントの勝率とピック率を公開しており、特にセージの弱体化前と弱体化後のデータに注目し、Riot独自の”バランス調整哲学”について語られています。
どのようなデータを収集しているか

開発チームは、ヴァロラントの各部分におけるデータを収集しており、ゲームの様々な面における強みと健全性を測定しているようです。下記は公式より明かされたシステム別の評価基準の一部です。
- エージェント:勝率(ランク、マップごと)、参加率(どれだけエージェントが選択されたか)、マスタリーカーブ(各プレイヤーが何試合で特定のエージェントを使用したかのデータで、そのエージェントの「本当の」勝率を測るのに使います)、普及率対深度(エージェントがどれだけ広範な人気を誇っているかと各プレイヤーがどれだけ深くエージェントに関わっているか)
- マップ:サイドごと(ランクごと)のラウンド勝率、マップごとの(スパイクが設定されているか、またどこに設置されているかによる)ラウンド結果平均
- 武器:ラウンドごとの武器の人気、武器の相性(例えばデュエルにおいてヴァンダルの使用者がファントムの使用者に対してどれだけ好結果を出すか)
強すぎるエージェントは誰なのか?
開発チームは、バランス調整をするにあたって、エージェントの強さを計るのに用いる基準をどのようなものにするか悩んだといいます。当初は『リーグ・オブ・レジェンド』で用いている基準(参加率と勝率)をVALORANTにも当てはめようとしたものの、これには大きな問題が発生したようです。
なぜなら、VALORANTにはミラーマッチ(敵味方どちらにも同じエージェントがいること)があるからです。そのような試合では必ずそのエージェントが勝ち、同時に負けるため、非常に強力なエージェントであるにも関わらず、勝率が50%になることもあったようです。
この問題を解決するため、エージェントのミラーマッチ以外での勝率を見ることにしたようです。これにより、両チームに同じエージェントがいる試合を除外でき、開発チームはミラーマッチ以外での勝率が、ゲーム内のデータからエージェントの強さを計るのに最適な基準だという結論にたどり着いたとのことです。
セージが強い理由は?
開発チームはリリース直後のデータから、誰が見てもセージが独走している状態にあったといいます。セージがなぜ強いのか、よく把握するために以下のデータを収集し、原因分析を行ったようです。
- なぜセージが強いのか、プレイヤーの皆さんからの直接的なフィードバック。これはアンケートと直接的な会話の両方を通して収集されています
- サイドによるエージェントの強さの分析(セージの強さがどれくらいアタック側、ディフェンス側に現れているかを理解するために活用します)
- ランク別のエージェントの強さと参加率(技量グループごとに違いがあるかを調べるためです)
- アビリティーにおける固有のデータ(1ラウンドでセージが回復を行った平均量、セージがアルティメットを使用したときのラウンド勝率、他のエージェントがアルティメットを使用した場合との比較、など)
キャラクターデザイナーはこれらのデータを用いて、セージを「絶対に選択」しなくてもいいようにするための選択肢を探りつつ、強力な防御/サポートキャラクターである彼女のアイデンティティを維持する必要があったといいます。
各エージェントの勝率とピック率の変化(パッチ1.02-1.11)
パッチ1.02(コンペティティブリリース時)


パッチ1.11(セージ弱体化後)



これらの結果を踏まえて、開発チームは現環境におけるセージは比較的健全な状態にあると感じているようです。Riotの考えるバランス調整哲学について詳しく知りたい方はこちらから原文記事をご覧ください。
引用元:https://playvalorant.com/ja-jp/news/dev/trust-the-balance-process-data-and-insights/
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