「Riotの休暇期間中にチーター率が一時10%まで急増し、”脳なしの病原体”が湧き出たような状態だったが、今では1%以下に抑え込むことに成功した」アンチチート部門責任者が年末年始に急増したチーター対応の現状を報告、各地域ごとのチート手法についても言及

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    VALORANTのアンチチート部門の責任者を務めるPhillip Koskinas氏が、世界各地で増加していたチーターの対処状況について自身のXで最新の報告を行いました。

    年末年始の休暇期間中に急増したチーターへの対応や、地域ごとに異なるチート手法の解説、今後導入予定の新機能「Ranked Rollback」に至るまで、痛快なコメントとともに詳細を明かしています。

    以下、Phillip Koskinas氏の投稿を翻訳して掲載

    Vanguardが「1秒あたりBAN数」の新記録を樹立

    こんにちは、旅人の皆さん。私はRiotのVanguardチームでデータを駆使してアンチチートに取り組んでいる、Phillip “mirageofpenguins” Koskinasです。この1か月ほど、特にブラジルのような人気地域を中心にVALORANTでのチート報告が一時的に増加したので、チーターとの終わりなき戦争と、彼らがこのゲームで上達する気がないらしい現状について、地域ごとの簡単なアップデートをお届けします。

    現状報告

    まず最初に、幻覚ではありません。ここ数週間は確かにチーターが増えていました。しかし私たちは、チーターが最適な水準まで急速に減少していることを喜ばしく思っています。

    Riotの年末年始の休暇期間はリリースプロセスが停止するため、新しいアップデートやホットフィックスをプレイヤーに届けることができません。その隙を狙って、チート開発者は再び抜け目なく行動しはじめました。定期的な新しい検出技術がないと、そこまで高度ではないチートでも、トリガーボットのような単純なものでも戦略系FPSでは十分に強力なアドバンテージになってしまいます。私たちの対応体制が縮小している間に、即座に検出されなかったチーターが増殖してしまったのです。言うなれば、脳なしの病原体が湧き出たような状態でした。

    これは、時間という媒体を通して動くチートの粗い発生量です。Vanguardチームとしては、通常これを全体のゲームの1%程度に抑えるようにしています。

    上記は、VALORANTのランク戦におけるチーターの割合を地域別に表したものです。興味深いことに、グラフの急増はRiotの“ホリデーコードフリーズ”とほぼ完全に重なっています。実際、新しい検出技術を出せない時期が、私たちの最も弱い瞬間です。しかし、休暇が明けてコードが“解凍”された今は、再び愛と無謀さをもって12品フルコースのアンチチートを提供し、ランクマッチにおけるチーター率を世界的に1%以下まで引き下げています。今後数か月間はこの状態が維持されると楽観視しており、また、将来の休暇に向けてはチート開発者が対応に苦労するような“サプライズ”アップデートを事前に仕込む計画も進めています。彼らが“イージーモード”でプレイできる期間を二度と与えないためです。

    さて、地域差があったことも明らかでしょう。そして、ブラジルではランク付けされたゲームの 10% に一時的に不正行為者がいたという事実に気付いたとき、皆さんはスピンボットを思い浮かべたに違いありません。

    ブラジルでは何が起こっていたのか?

    Vanguardは”内部”メモリ チートの実行可能性を低下させるため、ブラジルのチーターは“Pixelbot”(通称カラーボット)と呼ばれる不正行為を地域的に好むようになりました。高潔かつ美しい我々にとっては嫌悪すべきこの“Pixelbot”ですが、要するに“赤ちゃんの初チート”といったところ。画面を読み取ってフレームごとに簡易的な画像識別をかけ、敵の輪郭や頭部を素早く検出するコンピュータビジョン(CV)アプリケーションを想像してみてください。そこから、OSへのマウス入力を送る未公開の方法を使って、チーターの視点を検出対象に向けて“補正”するのです。
    Vanguardはメイン以外の周辺機器からの入力を完全に拒否しているので、チーター側は何らかの“手段”を用いてマウス操作をOSに送る必要があります。私がここで具体的に説明しないのは、この文章を“BANされる最速手段のチュートリアル”として公開するつもりがないからです。

    画面を読み取ってマウスを動かすなんて、既にエイムができる人にとっては馬鹿げて聞こえるかもしれませんが、科学的知見によれば、チーターには何の技量もないそうです(彼らにスキルがあればチートを使わない)。画面認識で十分なら高額なDMAチートを買うまでもないというわけで、実際、彼らにとって“Pixelbot”は理想のチートでした。まるでクリスマスツリーの下に大量に置かれていたかのように普及しましたが、幸いなことにインストールのしやすさと同じくらい検出も容易で、多くは早期に排除することができました。

    それでも、その期間に“何も考えずにエイムを補正する輩”が対戦相手にいるのは本当に最悪でした。ブラジルの皆さんが感じたフラストレーションは理解していますし、チーターに負けたときの感情は私たちもよくわかっています。彼らに対しては私たちも憎悪を共有しており、それがVanguardチームがアンチチートに参入した理由でもあります。私たちはこの問題解決に向けて取り組んでいますし、フェアプレイをする気のない人間からゲームを守るため、今後も戦い続けます。ときには大変な状況になるかもしれませんが、私たちは決してあきらめません。

    他地域の状況は?

    では、いくつかの地域の状況を短くまとめます。

    • KR(韓国)
      韓国ではゲームの利用に国民番号が必要で、これは“魂レベル”でチーターをBANできる便利な手段になります。一度BANされたチーターが再度プレイするには別人の身分を買うしかなく、非常に有効な抑止力になっています。
    • AP(アジア太平洋)
      AP地域では中国(CN)のチーターがVPNを使って他地域のサーバーに入り、身分証要求を回避している例が見られます。私たちはVanguardのサービスで地理的なアクセス制限をより厳しくし、正規のアンチチートセッションを取得することを難しくする取り組みを進めています。
    • NA(北米)
      想定どおり、DMAハードウェアを使った高額なチートが流行しています。フルセットで1000ドル以上かかることもあるそうですが、市場では“検出不能”と宣伝されています。しかし、毎月のBAN波で彼らのDiscordが炎上する瞬間は、この地球上で最も甘美なドーパミンを得られる瞬間です。
    • EU(ヨーロッパ)
      ヨーロッパでは、再びカーネルドライバ型のチートが出回っています。“Gary’s Pool Professionals(ゲイリーのプール業者)”のように、正規証明書を偽装・盗用している“事業者”名義でドライバを署名している例がありますが、これは“頭にレンガをぶつける”ように派手で、検出はそこまで困難ではありません。
    • TR(トルコ)
      多くのPCカフェがあり、そこに前の客や店側がチートをプリインストールしているケースが存在します。カフェは通常、デバイスBANを免除されているのですが、それを悪用したチーターが制裁を回避してしまう問題がありました。そこで私たちは、繰り返し違反を行うカフェには免除を取り消す対応を開始しています。
    • LA(南ラテンアメリカ)
      ここでもPixelbotが中心ですが、必要なハードウェアが十分には普及していないため、検出を逃れて存続することは今のところ難しいようです。現在はあまり大きな問題はありません。

    なぜチーターはなくならないのか?

    私たちはチートをできるだけ不便で高コストにしようとしていますが、良いゲームにはチーターが集まってしまうのが実情です。Vanguardレベルのアンチチートがあることで、大半のチーターは足を洗いますが、それでも残る連中は長期戦の覚悟がある“真のチーター”です。彼らは仲間同士のコミュニティで情報共有し、チートなしではVALORANTができない中毒状態にあります。アカウントやハードウェアに数千ドルを費やし、“自分が上手いと錯覚できる興奮”を得るために突っ走るのです。
    VALORANTは基本無料で参入障壁がほとんどなく、“完全に永久なBAN”なんて現実には存在しません。たとえVanguardがこの世界で最強のハードウェア指紋認証を使っても、やる気になったチーターを永遠に締め出すことは不可能で、いずれまた戻ってきます。

    さらに厄介なのは、私たちは“ブロック”するだけではなく、ある程度は彼らをゲーム内に“戻さざるを得ない”という点です。というのも、チート行為を一瞬でブロックしてしまうと、チーター側はその瞬間に“どこが検知されているのか”をテストで特定でき、そこを回避する形でチートを改良してしまうからです。彼らは時間だけはたっぷりあります。だからこそ、私たちは逆に応答を意図的に隠したり遅らせたりして、チーターの開発ペースを遅くするのです。一見非効率的に見えますが、そうしないとあっという間に“弾切れ”になるでしょう。

    最終的には、あなたがチーターに出会ってしまうのは完全には防げません。しかし、私たちは彼らが諦めてアンインストールするまで、ひたすらBANし続けるつもりです。
    そういえばBANと言えば…

    もし予算が5倍になったら、再び私は“チーターを親御さんに説教してもらう”案を提案するでしょう。保護者を呼び出して三者面談をします。ハードウェアBANなんて目じゃありません。高校のプロムに行けなくなるのは誰だ?

    上のグラフは、過去120日間におけるVALORANTとVanguardによるBANのタイムラインを示したもので、検出の種類ごとに色分けしています。

    • Manual(手動): Vanguardスペシャリストが丹念に下す特製の“農場直送”BAN。
    • Behavior(行動):ML(機械学習)に基づくサーバー側アンチチートで、主に“ragehack”をするアカウントに付与。
    • Hitchhiking(ヒッチハイク):チーターとパーティを組んでランクを不正に上げようとしたプレイヤー(Vanguardは巻き添えBANも行う)。
    • Cheating(チート):ハードウェアBANを回避したうえでのチート検出。
    • Hardware(ハードウェア):ハードウェア指紋認証を回避しようとして滑稽にも失敗したリピーター。
    • Tampering(改ざん):Vanguardそのものに干渉する行為を行ったための検出。これは当然禁止です。

    1月10日から13日の週末は、私たちのBAN速度が史上最高を記録しました。1分あたり約7件もの停止処分が連続で行われたのです。

    もちろんこれは大量の“涙”を生むでしょうが、アンチチートにとって最も重要なのは実はBANした件数ではなく、その“検出スピード”です。私たちはこれを“Time-to-Action”と呼び、チーターがBANまでに何試合プレイできたかを追跡しています。2024年は過去2番目に早い年で、チーターの中央値はわずか6試合しかプレイできませんでした。もちろん、私たちも「6試合ですら多すぎる」と思っていますが、現代の技術で到達できる速度としてはこれが限界に近いです。

    チーターに負けた場合はどうなるのか?

    常にBANを繰り返すことで、チーターは“ragehacking”と呼ばれる行動に傾きがちです。どうせ長くプレイできないと悟った彼らは、BANまでの数試合で最大限に暴れようとします。まるで子どもの癇癪(かんしゃく)のようなもので、私たちはあきれ果てるばかりですが、被害に遭う味方や相手には大きなストレスです。

    私たちがこれ以上BANを早められず、チーターが消え去ることもないなら、次にできることは何でしょうか?
    そこでAct 2から導入されるのが“Ranked Rollback”です。その名のとおり、チーターによって失ったランクRRを戻す仕組みを導入します。もしチーターが味方にいた試合で勝利していた場合、その分のRRはそのまま(巻き戻しはされない)ですが、わざとチーターとパーティを組んでいたプレイヤーは“ヒッチハイク”としてBANを受けることになります。

    さらに、チーターを通報した際の通知システムも改善します。現行システムでは、通報したチーターがBANされたタイミングでログインしていないと通知を受け取れませんが、今後は“メールボックス”形式に移行し、ログイン時に通報が的中したチーターのBAN履歴を一覧で確認できるようにします。これにより、ユーザーが正しい通報をしたときのフィードバックが得られやすくなり、報告精度の向上につながります。私たちもさらに新しいチートを早期発見できるでしょう。

    TikTokでのチート広告について

    幸いなことに、こうした広告の多くは事前録画した映像を使い、“まだBANされていないチート”のように見せかけるだけの怪しいアフィリエイトリンクです。実際には、プレイしているアカウント名や、画面右下のクライアントバージョン表示を確認するだけで、すでにBAN済みだとわかる場合がほとんどでしょう。

    一部の“抜け目ない”チート開発者たちは、TikTokの配信にモデレーションがほぼない点を利用して、ユーザーにチートを宣伝させ、将来的な“無料”サブスクリプションをちらつかせています。しかし、結局は常に同じ“使い捨て”検出済みチートを再ブランド化して売っているに過ぎず、BANされるまでの数試合でできるだけ多くのサブスクを売り逃げる“Exit Scam”の典型です。ここに対して私たちから特別な策をとる予定はありませんが、もしこんなゴミチートをダウンロードしようとしているなら、購入履歴は残しておく方がいいかもしれませんね。

    最後に

    チーターは常にVanguardに歯向かってきますが、だからこそ私たちも止まることはできません。これは終わりなき“猫とネズミ”のゲームですが、私たちはあらゆる手段を使ってでも、チーターが退散するよう追い詰め続ける覚悟です。フェアプレイを望まないプレイヤーにこのコミュニティで居場所はありません。
    ここまで読んでいただき感謝します。ゲームをプレイしてくれて、報告ボタンを押してくれてありがとう。それが私の糧となっています。それでは、また次回。

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    コメント

    コメント一覧 (11件)

    • 運営がちゃんとチート対策してくれるのほんとにありがたいわ
      いつもありがとう

    • fpsの中でもチートの少なさはVALORANTの売りだと思う
      しかもランクロールバック機能も追加されるみたいだし、チーターに対してはユーザーフレンドリーだよ

    • 年末年始はマジで酷かったからな
      勿論完全に0にするのは不可能だろうけど、どういう取り組みをしてどの程度結果が出てるのかをきちんと公表しているのは凄く良い事だと思う

    • P〜Dみたいな雑魚帯でも普通にいるのビビる。今までうまいって尊敬してた野良が純粋に褒められなくなるの悲しい

    • チーターがガチでクソでゲームのやる気を奪うってことを痛感したな
      チート対策が強くない限りは他のfps行けないな

    • 韓国ではゲームの利用に国民番号が必要で、これは“魂レベル”でチーターをBANできる便利な手段になります。
      魂レベルのBANができるのうらやましい半分表現の仕方が怖い半分

    • 「毎月のBAN波で彼らのDiscordが炎上する瞬間は、この地球上で最も甘美なドーパミンを得られる瞬間です。」
      最高にいい性格してる。

    • VALORANTにおけるチート問題は、公平な競技環境を前提に課金しているプレイヤーにとって重大な不利益となり、運営の不十分な対応は消費者契約法や景品表示法の観点から問題視される可能性があります。過去に消費者庁がゲーム業界に介入した事例もあるため、個別ではなく集団で相談を行うことで、適切な対応を求める圧力となり、より強固なチート対策が実施される可能性が高まります。

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