「2014年に戻った気分」Shroudが明かす初勝利後の思い・競技シーン復帰の裏側
先日行われた「VCT 2022 NA LCQ」ロウワーブラケット一回戦でShopify Rebellion相手に同大会初勝利を収めたSentinels。中でも7月より同チームに加入したShroud選手のパフォーマンスは目を見張るものがあり、海外を中心に大きな話題を呼んでいます。
本稿では、同試合終了後に海外メディア「BLIX.GG」により行われたインタビューの内容を一部引用して紹介すると共に、同選手のスーパープレイ・今後の試合日程などをまとめて掲載しています。
本名:Michael Grzesiek
出身:カナダ
年齢:28歳
2014年から2018年までCS:GO競技シーンで活躍。その後は主にストリーマーとして活動。
2022年7月9日にSentinels VALORANT部門へ加入。同チームでは主にヴァイパー・アストラなどのコントローラーを使用。
Shroud選手 海外メディアインタビュー
――約5年振りのBo3での勝利となりましたが、今の気持ちをお聞かせください。
Shroud選手:とてもいい気分です。まるで2014年に戻ったよう。あの頃と全く同じ感覚なんです。分かります?
――ええ、もちろん。競技シーンに戻る決め手は何でしたか?再びトップレベルで戦いたいという思いがあったのでしょうか。
Shroud選手:正直、これといって熱い思いなどは無かったですね。おかしな話ですが、タイミングが良かったというだけなんです。本当に丁度いいタイミングでした。場所も時期も、何もかも。Sentinelsが5人目のメンバーを探していて、「これは面白そうだ」と思い署名したんです。彼らが良いと言うならば自分は加入するつもりでしたから。そして、実際に彼らの答えは「Yes」でした。それだけです。復帰への熱い思いなどは一切ありません。ただ、面白そうな話に食いついたというだけなんです。面白いことは好きですから。
――加入の話は夕食の席で出たと以前仰っていましたが、会話はどのような感じでしたか?
Shroud選手:私の代理人が「Sentinelsが5人目のメンバーを探していて、興味があれば候補として名前を挙げることができる」という話を持ち込んできたんです。正直VALORANTでのプロ経験は皆無なので全く予想外でしたが、私は「よし、やろう」と二つ返事で返して、彼らの答えも同様に「Yes」でした。
――競技シーンに復帰し最初の一歩を踏み出した今、これからも続けていきたいという思いはあるのでしょうか。
Shroud選手:ええ、もちろんあります。理由としては主にフランチャイズ化の噂ですね。実現する確率は高そうですし、LoLのようにサンタモニカやLAでという形になれば、LA在住ということもありとても嬉しいです。実現すれば確実に続けていきたいですね。フランチャイズに関してはCS:GO時代からずっと憧れを抱いていて、LoLのような週刻みの試合スケジュールがあれば最高だと常日頃思っていました。なのでもしVALORANTでもフランチャイズ化が実現し、Sentinelsが提携した暁には是非続けていきたいです。もちろんチームがまだ私を必要としていればですが。
――仮にフランチャイズが別の地域で行われるとしたらどうでしょう。依然として続けていく意思はありますか?それとも、LA近辺で実現した場合のみということなのでしょうか。
Shroud選手:正直かなり厳しくなりますね。今の直感だと答えは「No」です。そもそもフランチャイズ化がLAで実現するという噂が大前提なんですよ。要は引っ越したくないんです。現在LA在住ですし、この土地のものが好きなんです。だからこそ越してきたというのもあります。
――以前100 Thievesから共同創設者就任のオファーがあった際、「このブランドには関わりたくない」と仰っていましたが、同チームとSentinelsとの違いは何だったのでしょうか。
Shroud選手:確かに以前100 ThievesとNadeshot(現CEO)から共同創設者就任のオファーがありましたが、正直当時の自分には重すぎるというか、人生をそこまで捧げるのは無理だと思ったんです。就任すれば膨大な時間を費やす必要が出てくるのは目に見えていますし、それは個人的には全く望んでいないことでした。当時は何の杞憂も無く自分のスケジュールに沿って個人配信をしていたというのもありますね。概要としてはこんな感じです。この件と今回のSentinels加入の件の間に特に相関は無いと思います。
――LCQ初戦についても伺いたいのですが、何が敗因となったのでしょうか。やはり緊張などありましたか?
Shroud選手:そうですね。確かにありました。ただ何も僕だけではなく、メンバー全員に緊張があったように思います。新体制のチームですし、それに加えて2名の新規メンバーがいるというのはかなり大変なんです。僕個人というよりは、チーム全体が緊張していたように見えました。もし今日同じ相手と再戦できるなら、結果は全く変わってくると思います。
――Shopify Rebellion戦の第一マップでは21キルを叩き出しフラグトップとなりましたが、周りを見返したような感覚はありましたか?
Shroud選手:何となくはありましたね。ただ、別に昔と何も変わっていないんですよ。同じ私という人間が、違うゲームをしているだけ。これからは全ての試合で同じくらい活躍したいですね。一試合のみで終わってしまうのではなく。
――これからのロウワーブラケットに向けて、チームとしての自信の程はいかがでしょうか。
Shroud選手:自身は物凄くあります。次戦は5日後ですし、準備期間としてはこれ以上ないと思います。5日間も練習できるとしたら、大抵の人は喜ぶのではないでしょうか。ただ、基本的に試合の間には少なくとも1日以上の休みがあるはずなのに、Shopify Rebellionだけは何故か2日連戦というスケジュールだったので、その点はおかしいと思いました。
――勝利を否定するわけではないのですが、やはりその点はアドバンテージになりましたか?
Shroud選手:もちろん。何をやって来るのかが手に取るように分かりましたね。チームとしての傾向を知っていたので、何か特定のアクションがあれば次に起こることが容易に予想できました。何度か上手くフェイクをかけられたりもしましたが、特にフラクチャーではかなりのアドバンテージになったと思います。
――Sentinelsのコーチ陣はかなり規模が大きいですが、やはり試合への準備などの面で助けになるのでしょうか。
Shroud選手:助かりますね。新しい視点が追加されるようなものなんです。プレイヤーの視点と、コーチの視点。誰の視点かは関係なく、数が増えることが重要なんです。極端な話、アマチュアの人がプロでさえ気付けなかった事に気付くなんてこともあり得ます。誰しも基本的には一方向の視点しか持たないし、カジュアルなプレイヤーの視点は全く異なるので。まあ、様々な視点があると助かるということです。
――ありがとうございました。同大会での健闘を祈っています。
Shroud選手 スーパープレイ集
たった2試合で既に数々のスーパープレイを残している同選手。初戦のThe Guard戦・ローワーブラケット一回戦のShopify Rebellion戦より、特に目を引いたシーンを紹介します。
突然の決着
オーバータイムかつマッチポイントという重要な局面。実況・解説共にZellsis選手がtrent選手の死体に投げたゼロ/ポイントの話で盛り上がる中、Shroud選手が持ち前の勝負強さを発揮し試合を終わらせてしまいます。
流石のカバー力
3マップ目のオーバータイムというこれまた重要な局面。3v3でSentinelsがリテイクを仕掛け、まずはShroud選手がイエローでの1on1を制します。ただ、素晴らしいのはそこからのカバー。解除を試みるShahZaM選手を完璧な射線管理で助け、見事ラウンドを取得します。
また、Bロングにワンウェイの形で設置してある「ポイズンクラウド」をしっかりと起動していることから、コントローラーとしての熟練度が窺えます。
HP60の悪魔
スパイク設置後、武器状況不利な中で3v3のリテイクを迎え撃つSentinels。設置と同時にShroud選手はヴァイパーの燃料を使い切り、トキシックスクリーンが降りてしまいます。サイトの構造上射線が長いことから、オペレーター+ライフル2本を所持しているSR側が有利に思われましたが、Shroud選手には関係ありませんでした。
HP70のdazzLe選手の頭をクラシックで的確に撃ち抜いたかと思えば、トキシックスクリーンを再度上げると同時にZellsis選手のファントムを装備。最後は衰弱が入った残りの2名をHP60ながら一人で持っていき、不利な状況を覆しての見事なラウンド取得となりました。
今後の対戦相手・試合日程
現在のトーナメント票
同チームの次戦の相手は強豪「100 Thieves」。日本時間8月12日午前5時より開始予定となっています。昨年のVCTではロスターは違えど何度も対戦したこのカードは、既に海外掲示板redditを中心に大きく注目を集めています。
同試合に勝利した場合、次戦はCloud9・NRGの勝者と戦うこととなります。9月に行われるChampionsへ出場できるのは1チームのみという厳しい状況ですが、Shroud選手率いるSentinelsはファンの期待に応えることができるのでしょうか。
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