SteelSeries Apex Pro Mini Wirelessをレビュー:アクチュエーションポイント最短0.2mm、高性能ワイヤレスゲーミングキーボード
本稿では、SteelSeriesの60%サイズのワイヤレスゲーミングキーボード「Apex Pro Mini Wireless」をレビューしていきます。
製品概要 / スペック
デンマークに本拠地を置くゲーミングデバイスブランド「SteelSeries」から2022年9月に発売された、Apexシリーズのコンパクトゲーミングキーボード。新開発された独自スイッチ「OmniPoint 2.0」を搭載し、アクチュエーションポイントを最短0.2mm-3.8mmの間で0.1mm単位の調整が可能になったほか、フルサイズ比で60%小型化されたゲーマー向けのフラグシップ最新モデル。
キースイッチ | OmniPoint 2.0スイッチ |
カラー | ブラック |
レイアウト | 60% |
押下圧 | 非公開 |
キーストローク | 非公開 |
キーストローク寿命 | 1億回 |
アクチュエーション | 0.2mm-3.8mm |
接続方式 | USB Type-C 有線 / 2.4GHz / Bluetooth 5.0 |
バッテリー寿命 | 30時間(ワイヤレス)/ 40時間(Bluetooth) |
サイズ | 40.5 x 292.8 x 102.1cm |
重量 | 543g(公称値) |
開封 / 同梱品
- キーボード本体
- USB-C to USB-Aケーブル
- キーキャッププーラー
- USB-Cワイヤレスドングル
- ワイヤレス延長ケーブルアダプター
- 取扱説明書
外観をチェック
こちらがApex Pro Mini Wirelessのキーボード本体。今流行りの60%サイズのゲーミングキーボードとなっており、非常にコンパクトなサイズ感です。60%サイズのキーボードは、ゲームをプレイする上で使用頻度の少ないキーを物理的に排除することにより、マウスの操作範囲が広がるというメリットがあります。
Apex Pro Mini Wirelessは現在ブラック1色のみの展開で、全体的に少しザラッとした質感の残るマット仕上げ。ケースはプラスチックですが、マットな質感のおかげで安っぽさはありません。底面中央では「SteelSeries」のロゴが存在感を放っています。
滑り止めのゴムは四隅に配置されており、グリップ力は必要十分。チルトスタンドは2段階の高さ調整が可能な2段チルトです。各チルトの先端にもゴムが備わっているので、激しい操作中でも本体がズレるといったことはありません。
横から見たときのチルトスタンドの高さを並べて比較。左からスタンドなし、1段階、2段階となります。本体に少し高さがあるので、リストレストを併用することでより使い勝手が向上しそうです。
こちらはキーボードのサイド部分。中央にはブランドロゴが印字されています。底面と中間部で段差がある珍しいデザインとなっています。
また本体サイド部分には、USB Type-Cポートと2.4GHz / Bluetoothの切り替えスイッチが備わっています。スイッチを中央にスライドさせることで電源オフにすることが可能です。
本体重量は実測で538.5g。メーカー公称値は543gなので、誤差といったところでしょうか。このサイズ感のキーボードとしては比較的軽量な部類に入るのではないかと思います。
キースイッチ / キーキャップ
キースイッチには、本製品最大の特徴とも言えるSteelSeries独自新開発の「OmniPoint 2.0」を搭載。前モデルがアクチュエーションポイント設定範囲が0.4mm-3.6mm(10段階)だったのに対し、今作では最短0.2mm-3.8mmまで0.1mm単位での調整が可能になり、大きく進化しています。
一般的なメカニカルキースイッチのアクチュエーションポイントは2.0mmほど。レスポンスタイム(応答速度)に関しては11倍の速さを誇る0.54msと非常に高速です。耐久性に関しても1億回の押下に耐えうるとのことで、業界トップ水準の性能を持つキースイッチであると言えるでしょう。
キーキャップには、2層成型のPBTキーキャップを採用。比較的安価なキーボードに搭載されるABS樹脂のものとは異なり、長期間の使用でも印字が摩耗せず、耐久性に優れたものとなっています。
手触りはケースと同じくマット仕上げで少しザラッとした質感。指紋や皮脂などの汚れも目立ちにくく、長時間使用していてもテカリが出てくるといったことはありません。
また、印字についてはやや大きめのフォントが使用されており、好き嫌いが分かれそうなポイントではあります。その反面、視認性は抜群です。
キーキャップ側面にはファンクションキー(本体右下のSteelSeriesロゴのキー)と組み合わせて機能する、セカンダリキーが印字されています。使用頻度の低いキーを省いたコンパクトキーボードには必要不可欠となる本機能ですが、ゲーム以外の用途ではやはりある程度の使いにくさを感じます。また、矢印キーはデフォルトではWASDに割り振られています。
また、本製品には1つのキーに2つのアクチュエーションポイントを持たせられる「デュアルアクチュエーション」という機能が搭載されています。浅い入力と深い入力でそれぞれ異なるキー操作を行うことが可能です。
例えば、Wキーのアクチュエーションポイントを0.2mmに設定し、3.8mmにSキーを設定した場合、浅く入力した際にはWキーの入力判定、深く入力した際にはSキーの入力判定が行われます。
セカンダリキーやデュアルアクチュエーションなどの設定は、後述する専用ソフトウェア「SteelSeries GG」で自由に変更することが可能です。
打鍵感
打鍵感については、Cherry MXスイッチの赤軸のような引っ掛かりのないリニアな打鍵感です。押下圧に関しては非公開(前モデルの初代OmniPointは45g)ですが、手持ちのCherry MX 赤軸(45g)と比較すると、明らかにApex Pro Mini Wirelessの方が軽い打鍵感のように感じます。あくまで筆者個人の感覚にはなりますが、体感35gほどといった印象です。
また、一般的な赤軸はスイッチを押し下げるほどに徐々に重くなっていく感覚がありますが、本製品ではあまりそういった感覚はありません。抵抗感も少なく、一定の重さで「ストン」と落ちていくような気持ちのいい打鍵感です。
天板プレートには堅牢性の高いアルミニウム合金を使用。そのおかげか、底打ちしても「キーン」といったような嫌な金属音が響くことはありません。キーストロークは非公開ですが、一般的なメカニカルキーボードと同等(おそらく4mm程度)と思われます。
スペースバーなどのグラつきも少なく、入力面については非常に高品質な仕上がりになっています。
ライティング
ライティングについては、専用ソフトウェアで様々な調整が可能で、キースイッチごとにカラーやパターンを変更できます。明るさは10段階となっており、デフォルトではFnキーとC / Vキーを組み合わせることで簡単に明るさを調整できます。ライティングパターンは7種類のプリセットが用意されているほか、単色 / カラーシフト / ブリーズのカスタマイズ設定ができます。
バッテリーは内蔵タイプで、持続時間は2.4GHzワイヤレス接続で30時間、BlueToothで40時間(標準設定のライティングを使用した場合)。電池の減りがやや早いような気はしますが、明るさを調整すればより長時間での使用も可能になります。
ソフトウェア
Apex Pro Mini Wirelessでは、専用ソフトウェア「SteelSeries GG」が用意されています。ここでは各キーバインドやアクチュエーションポイントのほか、デュアルアクション、ライティングなどの設定ができます。
設定項目が多いので慣れていないと最初は少々戸惑うかもしれませんが、直感的な操作が可能なUIとなっています。
ただし、ライティングの設定に関しては日本語のJIS配列版に完全には対応しておらず、US版と配列の異なる一部キーの設定が変更できないようです。こちらに関してはまだ発売から間もないということで、いずれアップデートが行われるものと思われます。
デュアルアクチュエーションの設定方法
デュアルアクチュエーションの設定方法が少し分かりづらかったので、以下に解説します。
- 「アクチュエーション」で任意のキーを選択し、浅い方のアクチュエーションポイントを設定する
- 「Dual Actuation」で先ほど選択したキーを選び、深い方のアクチュエーションポイントを設定する
- 「Dual Bindings」で深い方のキー入力を指定する
総評:価格はネックだが、性能面は妥協なし
「Apex Pro Mini Wireless」の最大の強みはやはり自由自在にアクチュエーションポイントが調整できること。最短0.2mmから調整できるキーボードは現状選択肢がほとんどありません。
全体的な作りとしてはSteelSeriesらしいシンプルなデザインで、ブランドロゴが数カ所に配置されている他に無駄な装飾はなく、ゲーミング感の少ないデバイスとなっています。ただし、キーキャップの印字に関してはやや主張が強く、この部分に関しては好みが分かれるかなといった印象です。
肝心の打鍵感については、軽快かつ抵抗感の少ないスムーズな押し心地で非常に良好。打鍵音の大きさについては一般的なメカニカルキーボードと同等です。
唯一ネックなのは、約38,000円という日本国内向けの価格設定でしょうか。一般的に高級キーボードと呼ばれる「RealForce」や「HHKB」シリーズよりも高価で、ゲーミングキーボードとしては相当高額な部類に入ります。
一方、性能面でのパフォーマンスは非常に高く、作りもしっかりしているため、ユーザーから高い評価を受けているデバイスであることは間違いありません。
対抗馬として「Wooting 60HE」が挙げられますが、JIS配列がないことや押下圧が重いこと、さらには国内販売がされておらず入手性が低いといったデメリットがあります。その一方で、Wooting 60HEにはキーを離した瞬間から入力が止まる独自の機能が備わっており、FPSにおいてはストッピングなどの操作面で有効的との評判があるのも事実。
今回ご紹介したApex Pro Mini Wirelessは、推定40g以下の軽快な打鍵感とワイヤレスに対応しているという点が強み。どちらも一長一短ある製品なので、よく調べてから自身に合ったものを選ぶといいと思います。
同シリーズのラインナップとして有線版の「Apex Pro Mini」や、今年11月に発売された有機ELディスプレイ/テンキー付きモデル「Apex PRO TKL(2023)」も発売中。こちらもぜひ検討してみてください。
また、本体にやや高さがあるので筆者はサンワサプライ製のリストレストを併用中。ぷにぷにとした感触で腕が疲れにくくなる上に、サイズ感がApex Pro Mini Wirelessにピッタリで安価、おすすめです。
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- アクチュエーションポイントが最短0.2mmから設定可能
- 軽快でストレスフリーな打鍵感
- 比較的軽量で持ち運びがしやすい
- ワイヤレス接続に対応
- 1億回の入力に耐える高耐久性
- 価格が高価
- 印字フォントがやや大きめ
関連リンク:SteelSeries 製品ページ
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