2021年のVALORANT Champions初代王者として知られるヨーロッパのeスポーツチーム「Acend」が、VALORANT Tier2シーンからの撤退を表明し、2年間で150万ユーロ(約2億7000万円)を投資したにも関わらず、システムの構造的な問題により持続不可能だったとする声明を発表しました。
声明では、賞金の未払い、配信環境の劣悪さ、スポンサー制限、そしてRiot Gamesによる頻繁なルール変更など、フランチャイズ外のチームが直面している深刻な問題が赤裸々に語られています。特にGame Changersへの30万ユーロの投資が「財政的な災害」だったことや、アセンション優勝者のフランチャイズ期間が2年から1年に短縮されたことを「大惨事」と表現するなど、現在のVALORANT競技シーンの持続可能性に大きな疑問を投げかける内容となっています。
𝐖𝐞 𝐝𝐢𝐝𝐧’𝐭 𝐰𝐚𝐧𝐭 𝐭𝐨 𝐞𝐧𝐝 𝐨𝐮𝐫 𝐕𝐚𝐥𝐨𝐫𝐚𝐧𝐭 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲 𝐥𝐢𝐤𝐞 𝐭𝐡𝐢𝐬 – 𝐛𝐮𝐭 𝐰𝐞 𝐤𝐢𝐧𝐝 𝐨𝐟 𝐡𝐚𝐝 𝐭𝐨.
— ACEND CLUB (@AcendClub) November 12, 2025
𝐘𝐨𝐮’𝐝 𝐛𝐞 𝐬𝐡𝐨𝐜𝐤𝐞𝐝 𝐢𝐟 𝐲𝐨𝐮 𝐤𝐧𝐞𝐰 𝐡𝐨𝐰 𝐛𝐫𝐨𝐤𝐞𝐧 𝐭𝐡𝐞 𝐬𝐲𝐬𝐭𝐞𝐦 𝐫𝐞𝐚𝐥𝐥𝐲 𝐢𝐬.
𝐇𝐞𝐫𝐞’𝐬 𝐭𝐡𝐞 𝐭𝐫𝐮𝐭𝐡…
以下、Acendによる声明の全文訳となります。
私たちはVALORANTのストーリーをこんな形で終わらせたくありませんでした – でも、ある意味そうせざるを得ませんでした。
システムが実際どれほど壊れているか知ったら、あなたはショックを受けるでしょう。 誰も声に出して言いたがらない真実がここにあります。
そして忘れないでください、エッジの効いたツイートではなく、私たちの行動で判断してください。
私たちはTier 2とTier 3のVALORANTが地に落ちていく中でも、シーンを支え続けました。フランチャイズに選ばれることなんて、最初から期待していませんでしたし、そのことに腹を立てていたわけでもありません。Tier2の環境は最悪でしたが、それでも私たちは残りました。
私たちをからかったり、荒らしたり、侮辱したりしても構いません。私たちが気にかけているのは、Tier2で実際に選手と組織が生き残れるかどうかです。私たちが気にかけているのは、Tier1だけでなく、すべての人のためのeスポーツとしてのVALORANTです。
ほとんどのファンは、このシステムがどれだけ壊れていて、成り立っていないかを知りません。持続可能ではないんです。そして後日、私たちがどれだけのお金を「無駄にしてきたか」を、公表するつもりです。
フランチャイズの外側でVALORANTがギリギリ成り立っているのは、「情熱」だけが支えているからです。
CEO、編集者、SNS担当、選手、コーチ、番組スタッフ……みんなが、シーンを生かすために最低限の給料でも働くことを受け入れています。
給料は底辺への競争のように下がり続け、賞金はいつまで経っても支払われない。
私たちも、いまだに受け取っていません。
それでも私たちが残り続けたのは、状況は良くなると信じていたからです。ゲームのこと、ファンのこと、コミュニティのことを本気で大切に思っていたからです。それは、これまでの歩みが何度も証明しているはずです。
私たちはブートキャンプ、メンタルコーチング、フルコーチングスタッフ、そして競技VALORANTを中心とした完全なコンテンツチームに投資しました。ゲーミング施設も構築しました。「Tier2にいるだけ」なのにすべてを行いました。
壊れた配信環境のリーグでも戦いました。ときには配信自体がないことすらありました。獲得したはずの賞金も支払われない。Tier1にいないチームにとっては生存のためにほぼ必須ともいえるベッティングスポンサーも、契約をブロックされました。ウォッチパーティーでは、どのスポンサーも表示できませんでした。
それでも、私たちはVALORANT向けのフルコンテンツチームを組み、複数のクリエイターと契約し、ショートからロングまでコンテンツを出し続けました。そして、最も人気のあるVALORANTポッドキャストのひとつにまで育てました。
私たちはGame Changersのロスターもゼロから支え、常にトップ3争いをするチームに育てました。私たちはいつだって「結果」で存在意義を示してきたつもりです。
ですが、成果を出しても、それだけでは長期的な継続は支えられませんでした。私たちが取り組んでいた期間において、Game Changersという仕組みは完全な失敗でした。Game Changersのシーンは、チームを抱えるオーガニゼーションたちが自費で支えている状態です。どれだけ結果を残しても、経済的には破綻しているのが現実です。
もちろん、「賞金だけで食べていくべきではない」という話は理解しています。それでも、すべてを勝ち取ったのなら、せめてトントンにはなると期待したくなります。
私たちのGCの試合配信は、正直言って目も当てられないクオリティでした。音声は壊れ、配信はカクつき、スポンサーに見せられるようなレベルではありませんでした。賞金総額も冗談のような額で、世界大会へのEU枠はたった2つだけ。
Riotは気にも留めていませんでした。本当に、それだけの話です。
それでも私たちは、このGame Changersシーンを育てるために、さらに30万ユーロを投じました。
その結果はどうだったか?
──何も残りませんでした。
それでも私たちがそこまでしてきたのは、ファンや選手にとって意味のあるものを築いていると信じていたからです。
そして同時に、これは私たち自身の責任でもあります。本当はもっと早く撤退すべきでした。そうすれば予算の50%は節約できて、その分をCounter-Strikeに投資できたはずです。
スポンサー獲得やセールスチームの拡充にも、もっと力を入れるべきでした。私たちはその代わりに、チームそのものへの投資を優先しました。可能な限り最高の選手たちと契約し、ファンに最高のロスターを見せる“義務”があると思っていたからです。
2年目には、Riotはアセンション優勝チームに与えられるフランチャイズパートナーシップ期間を「2年から1年」に縮小し、すべてのTier2チームの顔に唾を吐きかけました。これは関わるすべての人にとって悲惨な決定でした。
さらにその翌年には、またシステムが変わり、新しいルールと新しい条件が追加されました。フランチャイズの外側にいるチームが、このコロコロ変わる仕組みの中で、どうやって長期的な成功を築けというのでしょうか。
こうして実情を共有することで、他の人たちが同じ過ちを繰り返さず、「投資する価値のある」タイトルやシステム、イベントを見極める助けになればと思っています。
私たちは、壊れたシステムの中で、この2年間で150万ユーロを費やしました。
それでもeスポーツとしてのVALORANTと、そのコミュニティを愛していたからこそ、いつかRiotがこのシステムを改善してくれると信じていたからこそ、続けてきました。
「『VALORANTは簡単だった』なんてエッジの効いたことを言うべきじゃなかった」
Valorant? Too easy.
— ACEND CLUB (@AcendClub) November 3, 2025
Time for a real game. pic.twitter.com/qVRjoiHXiP
そう思われるのは理解しています。それでも、あえてそう言うべきだった、と私たちは考えています。
少しくらい自虐的に、少しくらいダサく、尖ってみるくらいのことは、私たちにも許されるはずです。
壊れたシーンを指摘し、怒りをぶつけ、ようやくその問題に光を当てることくらいは、してもいいはずです。
それでイメージを多少損なうことになったとしても、構いません。
少なくとも、みんなが現状を「見た」。
少なくとも、みんなが「語り始めた」。
もしほんの少しでも、それが変化のきっかけになるのなら──
そのためにしたすべての投稿も、すべてのジョークも、すべての愚痴も、すべて「やってよかった」と思えます。
Peace.