Pulsar PCMK TKLをレビュー:低価格が魅力的なホットスワップ対応ゲーミングキーボード
本稿では、Pulsar Gaming Gears様よりレビュー用にご提供いただいた、ホットスワップ対応のゲーミングキーボード「Pulsar PCMK TKL」をレビューしていきます。
製品概要・スペック表
商品名/型番 | PCMK TKL ISO Mechanical Keyboard |
本体カラー | ブラック / ホワイト |
タイプ | メカニカル / TKL88キー |
接続方式 | 有線 / 取り外し可能 |
サイズ | 355×127×22mm (W×D×H) |
重量 | 498g |
ポーリングレート | 1000Hz |
スイッチ | ホットスワップ対応 / 各種MXスタイルのメカニカルスイッチと交換可能 |
ケーブル | USB Type-C to USB-Aケーブル (1.8m) |
ライティング | 全てのキーで1680万通りのRGB LEDに対応 |
保証期間 | 2年間 (30日以内の返金保証あり) |
同梱物
- 『PCMK TKL』本体
- USB-C ケーブル×1
- スイッチ&キーキャッププラー
- ハードダストカバー×1
- ダストバッグ×1
- ブランドステッカー×1
- マニュアルセット×1
外観チェック
ベアボーン / 基盤
PCMK TKLはホットスワップに対応しており、自分好みのオリジナルカスタマイズが可能なキーボード。ご覧のようにこちらの基板に自分好みのMX互換 (3ピンもしくは5ピン) キースイッチを差し込み、キーキャップを取り付けるだけで簡単にオリジナルのキーボードを作ることができます。
国内向けに販売されている製品でホットスワップに対応しているキーボードは現状あまり多くありませんが、有名どころでいえば「Logicool G PRO X」がホットスワップに対応しています。
付属のキーキャッププラーを使ってキースイッチを自由自在に着脱することができます。
PCMK TKLの底面はキーボードでは珍しいスケルトン仕様となっており、非常に洗練された印象を受けます。基盤部分にはPulsarのブランドロゴが刻印されてあったりとメーカーの遊び心が垣間見える一面も。スケルトン仕様のゲームボーイなんかを彷彿とさせるデザインです。
基板内部に見える赤い物体は高密度の「ポリマーダンパー」。公式サイト曰く、基盤内部からくる雑音や振動音を排除し、より静かでクリアなタイピング音をもたらすとのこと。従来の金属プレートが入っているキーボードと比べると、底打ち音が軽減されているのが分かります。全体的に打鍵音がよりマイルドに抑えられている印象です。
チルトスタンド / 滑り止め
チルトスタンドは2段階の高さに調整可能。ユーザーの好みやシーンにあわせて高さを変更できるのでここは地味に嬉しいポイントです。スタンドの開閉はやや固めですがその分強度は十分。ガタつきもほとんど見られず、打鍵中にスタンドが閉じてしまうといったこともありません。
滑り止めのゴム足は上部に2つ、下部に3つの計5箇所に取り付けられています。よっぽど激しく使用しない限りはズレることもなく、必要十分なグリップ力です。
個性を演出できる”IDタグ”
PCMK TKLには、方向キーの上部に「IDタグ」と呼ばれる交換可能なネームプレートが設置されています。こちらはマグネットで貼り付けられているため、簡単に取り外しが可能。公式ストアでオリジナルのIDタグをオーダーすることができ、アルファベットは最大6文字、日本語は4文字以内で好きな文字を刻印することができます。
IDタグ部分の文字部分は半透明になっており、後述する専用ソフトウェアで自由自在に光らせることが可能。価格も400円と安く、個性を出したい方にはおすすめのオプションサービスです。
本体重量
本体重量はベアボーンのみで実測値476g、スイッチとキーキャップ装着時で738g。軽すぎず重すぎずといったところでしょうか。
スタビライザー
PCMK TKLのスタビライザーには、キーの打鍵感向上や打鍵音を静音化させる潤滑剤「ルブ」が標準で塗布済み。細部にまでこだわって作り込まれているのが分かります。
キーキャップ
PCMK TKLのキーキャップにはABS樹脂が使用されており、スベスベとしたマットな質感に仕上げられています。文字部分は無塗装の半透明仕様になっており、これによってRGB LEDが鮮やかに演出されます。
キーキャップはブラック/ホワイト、ベーシック/背の低いロープロファイルの計4種類 (日本語配列) から+1,900円で選ぶことが可能。ゴシック体のフォントが近代的でスタイリッシュな印象を演出しています。
接続方式
接続方式はUSB Type-Cの有線タイプ。各筐体と同じカラーのパラコードケーブル (1.8m) が付属します。
各スイッチを比較
今回はPulsar様よりご提供いただいたKailh社製の6種類のスイッチをレビュー。Pulsar公式ストアではこの他にも計14種類のキースイッチからお好みで選択することが可能。もちろんMX互換のキースイッチであれば社外品のものでも使用することができます。
ちなみに今回紹介するKAILH社製のキースイッチは大きく分けて、以下の3種類に分けられます。
- 静音性に優れた「SILENT」
- アクチュエーションポイント (接点) が短い「SPEED」
- 押下時のブレが軽減され、IP56等級の防水・防塵性能を備えた「BOX」
キースイッチ | タイプ | タイピング音 | 押下圧 | キーストローク | 接点 |
---|---|---|---|---|---|
KAILH SILENT PINK | リニア | 非常に静か | 35±10gf | 3.6±0.4mm | 1.8±0.4mm |
KAILH SILENT BROWN | タクタイル | 静音 | 45±15gf | 3.6±0.4mm | 2.0±0.4mm |
KAILH BOX RED | リニア | 静音 | 45±10gf | 3.6±0.3mm | 1.8±0.4mm |
KAILH SPEED COPPER | タクタイル | 普通 | 50±10gf | 3.5±0.4mm | 1.1±0.4mm |
KAILH SPEED PINK | クリッキー | カチカチ音 | 50±10gf | 3.5±0.4mm | 1.1±0.4mm |
KAILH SPEED SILVER | リニア | 静か | 40±10gf | 3.5±0.4mm | 1.1±0.4mm |
KAILH SILENT PINK
タイプ | リニア |
タイピング音 | 最も静か |
押下圧 | 35±10gf |
キーストローク | 3.6±0.4mm |
接点 | 1.8±0.4mm |
公式サイトの説明によると「KAILH SILENT PINK」は、出回っているメカニカルスイッチの中で最も静音なスイッチの一つであるとのこと。REALFORCEやHHKBなどに代表される「静電容量無接点方式」に近い打鍵感が大きな特徴です。
筆者は以前までは東プレの「RealForce R2 TKL」ALL30g・静音モデルを使用していたのですが、最終的にこちらに乗り換えることを決意。乗り換えた主な理由は以下の通りです。
- RealForceの静音モデルよりも静音性に優れている
- 押下圧が35±10gfとちょうどいい (ミスタイプが少ない)
- 洗練された筐体とRGB LEDが所有欲を高めてくれる
静音性に優れたキースイッチ
RealForceも静かではあるのですが、Silent Pinkはさらにその上を行く静音性です。RealForceは押下時は非常に静かなのですが、キーの跳ね返り時に発生するカチャカチャとした音が多少気になります。一方、Silent Pinkは跳ね返り時のカチャカチャ感がかなり抑えられており、底打ち音もほとんど気になりません。
ちょうど良い打鍵感の軽さ
Silent Pinkはメカニカルスイッチの中では最軽量クラスの35±10gf。RealForceのALL30g (押下圧30g) はそれよりも軽いキータッチが特徴的ですが、あまりの軽さゆえにミスタイプをしてしまうこともしばしば。Silrent PinkはALL30gよりもやや重めの押下圧になっているため、軽めのキータッチが好みな筆者からすると、ちょうどいい重さであると感じました。
素早いキー入力が求められるゲーム、長時間のタイピングを必要とする執筆作業のどちらでも快適に使用できる、個人的には最もおすすめのキースイッチです。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
PCMK TKL (Silent Pink) / REALFORCE TKL SAとの打鍵音の違い
- とにかく静音性を重視している
- 軽めのキータッチが好み
- 静電容量無接点方式のようなしっとりとした打鍵感が好み
KAILH SILENT BROWN
タイプ | タクタイル |
タイピング音 | 最も静か |
押下圧 | 45±15gf |
キーストローク | 3.6±0.4mm |
接点 | 2.0±0.4mm |
「KAILH SILENT BROWN」は、先述したSilent Pinkと同様に静音性に優れたキースイッチ。タクタイル感を備えながらも静音性を両立したキースイッチです。タクタイルスイッチの中では最も静かな部類に入るのではないでしょうか。
静音性に関してはSilent Pinkほどではないものの、一般的な茶軸と比べると非常に静か。打鍵感はSilent Pink同様にコトコトッとした感じ。Silent Pinkに比べるとやや重めですが、押下時にわずかにカチッとしたクリック感を感じます。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
- 静音性を重視している
- 茶軸のようにわずかなクリック感のある打鍵感が好み
- 打鍵感はやや重めが好み (一般的なCherry MX赤軸より若干重め)
KAILH BOX RED
タイプ | リニア |
タイピング音 | 静か |
押下圧 | 45±10gf |
キーストローク | 3.6+0.3mm |
接点 | 1.8±0.4mm |
「KAILH BOX RED SWITCH」は、メカニカルキーボードで最も高い人気を誇る「Cherry MX赤軸」とほぼ同じスペックのキースイッチ。赤軸同様に押し下げるほどにスイッチがわずかに重くなるリニアタイプで、滑らかな軽いキータッチが特徴です。
手持ちの赤軸メカニカルキーボード「ARCHISS ProgresTouch RETRO TINY」と比較してみた結果、押下圧はほぼ同等ですが、打鍵音に関しては大きな差が見られました。Progres Touchがカタカタとした打鍵音が発生する一方、Box Redは一回り打鍵音が抑えられている印象を受けます (それでもSilent軸と比べると音は大きめですが) 。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
- 静音性はあまり重視しておらず、サクサクとした赤軸特有の打鍵感を楽しみたい
- 軽めのキータッチが好み
KAILH SPEED PINK
タイプ | クリッキー |
タイピング音 | カチカチ音 |
押下圧 | 50±10gf |
キーストローク | 3.5±0.4mm |
接点 | 1.1±0.4mm |
「KAILH SPEED PINK SWITCH」はピンクスイッチという名称ではありますが、Cherry MXの青軸のようにクリッキーなスイッチです。
青軸のキーボードは所持していなかったので具体的な比較はできませんが、スペック上では押下圧はSpeed Pinkの方が軽く、ストロークに関してもこちらの方が短くなっています。打鍵音に関してはおそらく一般的な青軸と同等でしょうか。今回紹介する中では最も打鍵音の大きいキースイッチとなります。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
- キーの反応速度を重視している
- 青軸特有のカチカチ感が好み
- 静音性は求めていない
- 重めのキータッチが好み
- メインはゲーム用途、文章入力にはあまり使用しない (青軸は打鍵感が重く、長期的な執筆作業にはあまり向いていない)
KAILH SPEED COPPER
タイプ | タクタイル |
タイピング音 | 普通 |
押下圧 | 50±10gf |
キーストローク | 3.5±0.4mm |
接点 | 1.1±0.4mm |
「KAILH SPEED COPPER」は、公式ではSpeed SilverとSpeed Pinkのハイブリッドタイプとして位置づけられているキースイッチ。
Silent Brownとの比較では、押下圧はややこちらの方が重めになっています。Silent Brownはしっとりした打鍵感が特徴ですが、こちらはカチャカチャと乾いた感じの打鍵感になっています。打鍵音に関してはBox Redとほぼ同等といった印象でしょうか。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
- キーの反応速度を重視している
- 茶軸のようにわずかなクリック感のある打鍵感が好み
- 打鍵感はやや重めが好み (一般的なCherry MX赤軸より若干重め)
KAILH SPEED SILVER
タイプ | リニア |
タイピング音 | 静か |
押下圧 | 40±10gf |
キーストローク | 3.5±0.4mm |
接点 | 1.1±0.4mm |
「KAILH SPEED SILVER」は、Box Redと同様のリニアタイプのキースイッチながら、接点までのストロークを1.1mmまで短くしたゲーマー向けのスイッチ。押下圧に関してはスペック以上に重く感じます。Box Redの方がやや重いのですが、実際に比較した感じでは赤軸の方が抵抗なくスッと入力できる一方で、Speed Silverは若干茶軸に似たような抵抗感を感じます (クリック感はありませんが)。簡単にいえばクリック感のないSilent Brownといった感じでしょうか。
打鍵音に関してはBox Redよりわずかに高音のカチャカチャ感が抑えられています。Box RedとSilent Brownの中間といった印象です。
実際の打鍵音を聞いてみる
▽ キーキャップなし
▽ キーキャップあり
- キーの反応速度を重視している
- スピート系の中では比較的キータッチが軽めのスイッチが欲しい
ソフトウェア・ライティング
専用ソフトウェアの「PulsarFusion」では、キーカスタマイズ/ライティングの調整/マクロ作成が行なえます。
ライティングは既存の9種類のパターンに加え、各種キーを好みのカラーに設定できるカスタムモードを用意。IDタグ部分もカラーの調整が可能です。
ショートカットキー
PCMK TKLにはショートカットキーの印字はなく、公式マニュアルから確認することができます。ボリュームの上下や各種LEDの調整、マクロの記録など幅広いショートカット機能が用意されています。
総評・ターゲットについて
今回紹介した「Pulsar PCMK TKL」は1万円台前半という低価格ながら、ホットスワップ対応、2色から選べるボディ/キーキャップ、IDタグなどカスタマイズ性に優れているのが大きな特徴。機能、ビルドクオリティ面のどちらにおいても非常に完成度が高く、これからのゲーミングデバイス市場を牽引するであろうPulsar Gaming Gearsの気概を感じる商品です。
公式ストアでは実際にパーツを組み合わせながら仕上がりのデザインのイメージを確認することができるので、興味のある方はこちらもぜひお試しください。
- ホットスワップ対応のため、手軽にキースイッチを交換できる
- MX互換 (3ピンもしくは5ピン) に対応、さまざまなキースイッチが使用できる
- オリジナルのIDタグプレートで自分だけのキーボードにカスタム可能
- 裏面のスケルトン仕様が斬新
- 静音性に優れている
- 価格が安い
- USB Type-Cに対応、ケーブルの着脱が可能
「Pulsar Gaming Gears」とは
Pulsar Gaming Gearsは、eスポーツ大国韓国で2020年に新たに設立されたeスポーツギアブランド。「ハイテク製品をより良いコストパフォーマンスで消費者に提供すること」をブランドコンセプトに、高品質かつコストパフォーマンスに優れたゲーミングデバイスを2021年より次々と発売しています。
現時点ではマウス/マウスパッド/キーボードといったジャンルに限られていますが、ヘッドセットやスピーカー、ディスプレイなど、eスポーツゲーマーに必要なすべての製品を順次提供する予定としています。
Web:https://pulsargg.jp/
Twitter:https://twitter.com/pulsarjapan
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主さん指綺麗